昔から深爪をしがちで、コンプレックスというほどではなかったけれど、人前で手を見せるのが恥ずかしかった。ネイルなんて、深爪の自分には縁がないとずっと思いこんでいて、でもふと今年は爪をきれいにしてみようと思い立ち、今は近所の比較的安価なサロンに定期的に通っている。
それこそ何十年も、興味をもつことすらなかったのが嘘のように、爪をきれいにすることが日常の楽しみになった。不格好で恥ずかしかった自分の爪も、少し伸ばしてプロに整えてもらったら、それほど悪くなかった。
サロンで施術をしていただいているあいだは、ほぼ何にも触れないので、必然的にぼんやりできるところも気に入っている。色とりどりのカラーパレットを眺めては、どれにしようかと悩む時間の贅沢さ、そして待っていればきちんと美しい指先が完成することの幸福感。
ネイルを新しくした日は、何度も手を止めては、ぴかぴかの爪を眺めている。好みの仕上がりに満足するときもあれば、予想とちょっと違ったな、というときもある。でもなにより、自分の体の一部がきれいなかたちと色をしていることが、単純に嬉しい。


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