漫画『窮鼠はチーズの夢を見る』の年代設定


窮鼠の二次創作をするとき、私はいつも原作漫画の二人をイメージして書いているんだけど、普通にその時代にはなかったスマートフォンを登場させていることに、ふと気づいた。二人に勝手に時代を飛び越えさせている。

漫画『窮鼠はチーズの夢を見る』は、作中でガラケーが使われていたり、大学構内で喫煙している描写があったりして、今(2020年代)からすると少し昔の年代設定なんだけど、読んでいてもまったく古い感覚がなくて、あまりそこに不自然さを感じていなかった。

ガラケーといえば、恭一さんがそれにロックをかけたことが、二人が一度別れたきっかけになったわけだけど、私はあの時点では、恭一さんはたまきちゃんに対して恋愛感情はなかったと思っている。

そりゃあさ、見た目が可愛くて気立てもよい子に好かれたら、悪い気はしないよね。人間だもの。でも、恭一さんにとっては今ヶ瀬の方が大切で、ただその気持ちを今ヶ瀬にストレートに伝えるには、まだ時間と勇気が必要、みたいな段階だったんだろうなと思う。

でも、いつかは身を引かなきゃいけないのに、どんどん好きになって苦しいっていう、ぎりぎりの状態でいた今ヶ瀬の、あのメールを見つけたときの心中を思うと、痛ましくて胸がぎゅっとなる。

ロック事件の頃には、恭一さんは、「今ヶ瀬が自分によくしてくれるから」突き放せないんじゃなくて、「今ヶ瀬のことを好きになったから」一緒にいたんだろうし、彼なりに今ヶ瀬を大切にしようと努力もしていたけど、今ヶ瀬にはその気持ちは伝わらなかったんだろうね。

そのあたりの二人のすれ違いが、読んでいてすごく切ないのです。まぁ、ひとつ言えるのは、人の携帯電話を覗き見ていいことは一つもない、ということですね。本当に。


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